本日は毎年恒例、20211月から本日までの記事やタグのPVの集計結果から、1位から10位までのPVカウントダウン及び関連する私見を述べていきたいと思います。最近はブログの更新が停滞気味であり、従来のランキング上位とあまり変更はないのですが、過去の記事からの情報の更新もしていますので、宜しければ、みていただけますと幸いです。

 

結果は、以下のようなランキングとなりました。

1位 第21 IAS37号「引当金、偶発債務、偶発資産」(2

2位 特別目的の財務諸表監査について

3位 第24IFRS2号「株式報酬」

4SBIホールディングスによる新生銀行へのTOBについて

5位 富士フイルム・ゼロックス17年目の親子接近について

6位 第53IFRS13号「公正価値測定」(4)続き1

7位 会社法改正案、社外取締役の義務化について

8位 社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&Aの改正について

9位 第18章 「デリバティブ及びヘッジ会計」続き1

10位 事業再構築補助金について

 

まずは、13、6、9位のIFRSの記事ですね。1位、3位そして9位については、IFRSにおける特有の不利な契約、株式報酬、組込デリバティブ、ヘッジ等について検索されていたものと思います。上記項目以外にも、日本基準と大きな差異がある論点については、留意が必要です。

6位については、今年41日以後開始する連結会計年度・事業年度会社については、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(「時価算定会計基準」)の適用、企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」に基づいたレベル別での時価開示が義務化されることになりますので、IFRS13の実務を検索したものと推測します。

 

企業会計基準委員会(ASBJ)では、今年の617日に、改正企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(「2021年改正適用指針」)が公表され、変更点については、該当の基準をご参照いただきたいのですが、市場価格のない株式等(非上場株式)については従来の考え方を踏襲し、引き続き取得原価をもって貸借対照表価額とされ、持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価注記についても不要とのことで、依然として、IFRSと日本の会計処理や開示には乖離があると言えます。

 

次に、昨年の会社法改正の記事が7位となりましたが、「社外取締役」というキーワードで、検索されたものと推測しています。

社外取締役については、6月に改訂された企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、東京証券取引所が来年春に新設される「プライム市場」に上場する企業は、取締役会の3分の1以上を社外取締役とすることを求められますが、一定数以上の社外取締役をガバナンスの要に置くという「形」は日本でも整いつつあります。従いまして、今後は社外取締役がその機能を十分に発揮できる仕組み、つまり「実質」を確保する段階になっています。

では、単なる数合わせに終わらせないために、社外取締役の質をどう底上げしたらよいのでしょうか。国内外の先進企業ではいくつかの主な取り組みとしては、例えば、取締役会で、社外取締役が知見を提供できる中長期の重要な経営課題や方針について議論する時間を増やしたり、社外取締役が互いの意見を確認するために社外取締役のみが参加する会合を持ったり、取締役会の第三者評価を実施することで、企業価値向上のために社外取締役の役割を改めて問うことで、社外取締役による真の「統治」ができるのではないでしょうか。

 

昨年のSBIホールディングスによる新生銀行に対するTOB(株式公開買い付け)の記事が4位となりましたが、1211日にSBIホールディングスは新生銀行に対するTOBが成立し、子会社となりました。

今年9月に、SBIホールディングによる新生銀行へのTOBが発表されたことを契機に、新生銀行が買収防衛策の導入として、ポイズン・ピル(新株予約権無償割当)を検討するということで、買収防衛策としての新株予約権の無償割当の有効性を記事にしましたが、株式の20%強を保有する国(預金保険機構と整理回収機構)が買収防衛策に賛成しないと報道されたことに伴い、ポイズン・ピル発動決議の臨時株主総会は土壇場でキャンセルされ、1124日に新生銀行SBIホールディングス側のTOBに対する買収防衛策を取り下げました。

今回の事案により、敵対的買収に伴う買収防衛策としての新株予約権の無償割当については、事後の買収防衛策については、いかに株主利益に配慮するかがポイントであり、株主総会の決議により、法的にも認められる可能性が高いということだと思いますので、今後の実務の参考になりますね。

 

次に、2017年の記事が5位となりました。富士フイルムホールディングスが米ゼロックスとの統合交渉で決裂以降、米ゼロックスとのブランド契約を打ち切り、この4月から100%子会社として再スタートを切った富士フイルムビジネスイノベーション(BI、旧富士ゼロックス)ですが、この記事の具体的な内容は、連結子会社としての富士ゼロックスにおける会計不祥事に係る記事でした。
最近では、日本でもM&Aは頻繁に行われており、M&Aによる買収子会社の管理については、どの企業様におかれましてもご苦労をなされているのではないでしょうか。

M&Aにより会社を買収する際には、その会社の要望を出来るだけ理解し、配慮するというのは、スムーズな買収をする上で重要にはなってきますが、アクセル(成長)を踏む際にはブレーキ(ガバナンス)が無ければ、取り返しのつかない事故(不祥事)が起きるということは、常に考えておく必要があると思います。

 

次に、2019年の記事が8位となりましたが、もともと記事の内容としては、非営利法人委員会研究資料第5号「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正についての記事ではありますが、「『社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて(以下、「運用上の取扱い」という。)』の一部改正について」が、今年の41日から適用されることになり、社会福祉法人会計基準の組織再編に関する会計処理が明らかになっています。また同改定に係るQ&Aが今年の326日に通知されています。

社会福祉法人の特性により、企業の組織再編の会計処理とは異なりますので、実例はまだ少ないかと思われますが、組織再編をご検討されている際には、会計税務の専門家にご相談されることが望まれます。

 

2位は特別目的の財務諸表監査に関する記事ですが、これは2014年の記事であるにも関わらず、年度の総括記事を書くようになって以来、毎年継続して常にTOP10にランクインをしております。

特別目的監査については、公認会計士による準拠性監査として、従来型の適正性監査とは異なり、監査対象を限定できますので、対象となる書類や数値の作成基準を設定した上で、財務諸表数値のみならず、それこそESG指標等の非財務数値についても、当該基準に準拠しているかどうかを公認会計士が監査をすることで、第三者評価機関としての監査意見を入手することが出来るというメリットがあります。最近では非財務情報についての開示も拡大していますので、この特別目的の財務諸表監査を実施することで、期間投資家等の株主への説明責任を果たすことが出来ると思います。

 

最後は、10位となった事業再構築補助金の記事です。今年の326日からの第1回公募開始から、現時点で第4回の公募が締め切られています。第5回公募は、来年年1月中に開始される予定ですが、令和3年12月20日に、令和3年度補正予算の成立を受け、第6回目以降の事業再構築補助金において、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象として、「回復・再生応援枠」の新設、また国の成長戦略として、中小企業等のグリーン・デジタル分野を含めた成長を後押しすべく「グリーン成長枠」が新設されました。その他、売上高10%減少要件の緩和や賃上げに取り組む事業者への支援等も引き続き実施され、より使い勝手の良い制度となっています。

 注目すべきは、「回復・再生応援枠」の新設でしょうか。補助金額は従業員数によって異なりますが、最大1,500万円まで、中小企業については補助率を3/4に引き上げて(通常枠は2/3)手厚く支援するとのことです。なお、対象事業者については、通常枠の申請要件に加え、以下の(1)または(2)のどちらかを満たすことが求められます。

(1)202110月以降のいずれかの月の売上高が対2020年または2019年同月比で30%以上減少していること
(2)
再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること(詳細な要件は検討中)

とありますが、(2)の場合については、詳細な要件は検討中となっていますが、再生支援協議会スキーム等に則った再生計画を策定するというのが、そもそもハードルがありますので、(1)よりも要件は緩和されるものと思います。

 

また、今回の補正予算成立により、以下の中小企業関連の主要事業が開始又は継続拡充されました。

【事業復活支援金】
20223月までの見通しを立てられるよう、コロナ禍で大きな影響を受ける事業者に、地域・業種問わず、固定費負担の支援として、5か月分の売上高減少額を基準に算定した額が一括給付されます。

【資金繰り支援】
· 政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申込期限を年度末まで延長
· 資産査定上「資本」とみなせるため、民間金融機関の支援が受けやすくなる日本政策金融公庫による資本性劣後ローンの来年度の継続実施
· 金融機関の伴走を条件に保証料が引き下がる伴走支援型特別保証を、利用上限額を引き上げたうえで、来年度の継続実施


【生産性革命推進事業】

ものづくり補助金

· 赤字など業況が厳しい中でも、賃上げ等に取り組む中小企業向けに特別枠を創設し、優先採択や補助率引上げを行います(最大1,250万円、補助率2/3)。

· グリーン・デジタル分野への取組に対する特別枠を創設し、補助率や上限額を引き上げます。
グリーン枠:最大2,000万円
デジタル枠:最大1,250万円、補助率2/3

持続化補助金

· 赤字など業況が厳しい中でも、賃上げ等に取り組む事業者や、事業規模の拡大に取り組む事 業者向けに特別枠を創設し、補助率や上限額を引き上げます。
(成長・分配強化枠)最大 200 万円、補助率原則 2/3 (赤字事業者の場合には 3/4

· 後継ぎ候補者が実施する新たな取組や創業を支援する特別枠、インボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠を創設し、上限額を引き上げます。
新陳代謝枠:最大200万円
インボイス枠:最大100万円、補助率 2/3

IT導入補助金

インボイス制度への対応も見据えたITツールの導入補助に加え、PC等のハード購入補助等を行います。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎに係る取組を、年間を通じて機動的かつ柔軟に支援します。

 

それでは最後になりましたが、本年も当ブログを閲覧して頂いている皆様方に、心より感謝を申し上げると共に、来年もお引き立ての程、宜しくお願い申し上げます。