今回は、2015年1月から本日までの記事毎のPVを集計いたしまして、1位から10位までのPVカウントダウン及び私見を述べたいと思います。結果としては、以下のようなランキングとなりました。

1旭化成建材による施工工事データ改ざんによる不正の影響について

2三井住友建など行政処分もマンション傾斜、国交省検討

3旭化成建材、学校なども杭打ち工事三井不動産レジデンシャルも行政処分検討へ

4東芝の不適切会計、1500億円超の利益減額修正へ

5特別目的の財務諸表監査について

6東芝の不正会計に係る要約版纏め

7東証、6月にも社外取締役2名以上設置ルールへ

818章 「デリバティブ及びヘッジ会計」続き5

9東芝の不適切会計処理、監査法人の責任追及へ

10商業・サービス業・農林水産業活性化税制についてご存じでしょうか?


TOP3
は、いずれも旭化成建材による杭工事が施工されました横浜のマンション傾向問題に関連する記事がランクインいたしました。この問題が公表された当時は、旭化成建材による施工された杭工事が3,040件あり、横浜のマンション以外にも杭工事のデータ改ざんによる安全性への影響がかなりあるのではないかと懸念しておりましたが、国交省の有識者委員会による中間報告によりますと、「施工不良は横浜のマンションでしか見つかっておらず、データ改ざんと安全性の関連性は極めて低い」との指摘のもと、強制力のないガイドラインとしての指針を策定するに留まりそうです。当該指針には罰則規定はなく、あくまでもルールですので、これで本当に業界の施工管理の甘さが正されるかには、甚だ疑問を感じるのですが、建築基準法を改正し、建築確認を厳格化してしまうと、ただでさえ2015年後半から分譲マンションの着工戸数が前年同月比較で低下してきている(下図、国交省の統計情報より加工)上に、拍車を掛けて、低下してしまう可能性を憂慮したのでしょう。

マンション着工推移

国内の不動産インフラ投資の減少は、アベノミクスの成長戦略にも当然に影響を及ぼすのかもしれませんが、ここは適切な杭工事の施工、そして建物の安全性を最優先に決定をして頂きたかったところです。

政策を考慮された扱いということで同等かと思われるものが、第469位の東芝の不正会計問題です。今回の東芝の不正は、現行の監査基準が有効に機能していないことを改めて露呈したものとなりました。もともと、公認会計士の監査というのは不正を発見するために実施されるものではなく、あくまでも企業の財務諸表を利用する投資家保護のために、監査は実施されているのですが、結果的に東芝の不正により財務諸表は大きく歪められていたので、投資家は多大なる損失を被ることになってしまいました。このような矛盾(いわゆる、期待ギャップ)を解消するには、そもそも監査報酬を被監査会社から頂くことや、長期間に亘る同一監査法人による馴れ合い監査等、多々問題はあるのかと思うのですが、基本的に組織ぐるみで会社の資料が改ざんされているような場合に、重要な虚偽表示につながる不正の兆候を把握することは困難な作業になります。大規模な会社になればなるほど、それはより難しいでしょう。

しかし、今回の不正については、異常値を識別しながら追加の監査手続を実施しなかった点に新日本監査法人に落ち度があったことから、同監査法人には課徴金及び3ヶ月の新規契約業務停止処分が下されました。東芝についても、オリンパスと同じ特設注意市場銘柄として上場は維持されましたが、金融庁から破格の73億円という課徴金命令が下されることになりました。不正実行者である3名の元社長については、今後、刑事告訴される可能性があり、東芝自体についても、さらなる損害賠償請求がなされる可能性もあり、引き続き注視が必要です。

思うに、今回の東芝の不正についてもそうですが、不正は内部告発により発覚するケースが圧倒的に多いと言えます。従いまして、不正会計を本気で取り締まるには、内部告発者の素性の完全保護及び損害額に見合った報酬を支払うことを、証券取引法等で法制化すれば良いのです。米国のドッド・フランク法では、内部告発者に報酬が支払われています。これぐらいしなければ、東芝のような不正会計が今後は生じないとは決して言い切れません。要は、全て国益です。



話しをランキングに戻しまして、第5位に特別目的の財務諸表監査がランクインしておりますが、特別目的の財務諸表監査について、皆様わりとご関心が高いのでしょうか。当方の印象としましては、特別目的監査については、財務諸表の適正性監査と同じ「監査」ではあるのですが、契約で決定された基準に基づく準拠性監査ということで、皆様一線を引かれているのではないかという印象を持っております。海外の監査実務では、例えば、子会社の売上や売掛金に重要性があるので、その部分のみをグループの会計方針に準拠して監査をして欲しいといった依頼を、海外親会社の監査人から子会社の監査人に指示したりすることは普通にありますので、特に海外においては、公認会計士による保証は報酬を支払ってでも、それだけの価値があるということでしょうか。この特別目的監査が日本でもっと普及するためには、まず公認会計士監査の目的をもっと認知してもらい、信頼されていく必要があるかと思います。



そして第10位には、商業・サービス業・農林水産業活性化税制に係る記事がランクインしておりましたが、商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは、商業・サービス業等を営む中小企業者等が、認定経営革新等支援機関等が確認した経営改善設備を取得した場合に、当該取得価額の30%特別償却又は7%税額控除を受けることができる措置であり、平成29331日までの適用となっております。今回のランキングには入っておりませんでしたが、来年の税制改正による中小の新規設備に係る固定資産税半減措置や、生産性向上設備投資促進税制を利用すれば、かなりの節税が期待できると思われますので、是非活用をご検討ください。



最後になりましたが、本年もブログを閲覧して頂いている皆様方には、心より感謝を申し上げます。

来年もどうぞ、福武公認会計士事務所を宜しくお願い申し上げます。