旭化成は8日、子会社の旭化成建材のデータ改ざん問題について、外部調査委員会がまとめた中間報告書を公表いたしました。内容については、日経記事の通り、杭工事の施工の際に取得されるデータについて、取得できなかった場合の対応策がマニュアル化されていなかったことや、そもそも支持層に杭が到達したのかは、現場作業者の経験が重視され、電流計や流量計データにはあまり重きが置かれていなかった点等が指摘されておりました。

また当初、データ改ざんについては、旭化成建材全体の問題の可能性もありましたが、中間報告書によりますと、旭化成建材の現場監督者単独による改ざんであることも報告されておりましたので、組織ぐるみによる会社全体の問題ではないようです。

加えて、セメントミルク量の改ざんについても、納品書等の確認より、予め決められた所定の量が流入されていたことも報告されておりました。

しかし、同報告書では、そもそものマンション敷地の地盤が旭化成建材の施工工法であるダイナウィング工法を実施できない認定外地盤であったものの、載荷試験前に杭工事を実施していた事実についても報告しており、このような場合には安全性を確保するために、支持層よりも杭を1m以上深くする必要がある等の記載もあり、結局、同委員会では、現在実施されている三井不動産レジデンシャル及び三井住友建設による地盤調査等により明らかにされるものと報告し、杭が支持層に到達しているかどうかの安全性の判断を見送っております。

なお、三井住友建設による調査では、杭52 本のうち、支持層に達していない杭が6本、根入れが不十分な杭が2本あると推定されているようですので、地盤調査の結果が待たれますね。

以下、日経記事を引用いたします。

旭化成は8日、子会社の旭化成建材(東京・千代田)のデータ改ざん問題について、外部調査委員会がまとめた中間報告書を公表した。中間報告では、杭(くい)打ち工事でデータ取得ができなかった場合の対応策が決まっていなかったことや、現場担当者への教育・研修が不十分だったと指摘。データがない場合にデータ流用をさせない措置や適切な管理・教育体制などの再発防止策を提言した。

同日午前に受け取った中間報告書は、横浜で傾いたマンションでのデータ改ざんの背景を中心にまとめた。杭が固い地盤の支持層に到達しているかどうかの判断は見送った。旭化成の経営陣の責任の言及はなかった。

外部調査委は元福岡高等検察庁検事長の鈴木和宏弁護士を委員長とした弁護士3人で構成する。

旭化成は外部調査委の報告を踏まえて、社内調査委員会がデータ改ざん問題の報告書をまとめる。経営責任や社内処分は社内調査結果や国土交通省の行政処分の判断をみて判断する。