旭化成建材を発端とした業界の慣行的な杭打ち工事のデータ改ざんにより、国土交通省は20日までに、杭打ちの施工に関する業者向けの指針を策定する方針を固めたようです。元請けによる立ち会いや施工データの定期報告などをルール化し、各社に徹底するよう促すことで、元請けと下請けの役割分担や責任を明確化する狙いがあるとのことです。

具体的な指針として、①下請けは杭工事の進捗に応じて定期的に元請けに施工データなどを報告する、②杭を打ち込む固い地盤(支持層)の深さが特定しにくい場合などは元請けは現場に立ち会って施工状況を確認するなどのルールが示されておりますが、①のような進捗に応じた元請けへの施工データ報告とかは、ルール化しなければ出来ない事なのでしょうか。また②についても、支持層の深さが特定しにくい場合等に、元請けが現場に立ち会うのではなく、全杭打ち工事についての立会義務が当然ではないでしょうか。それが無理ならば、第三者を立ち会わせる等の代替案も必要なのではないでしょうか。

一般消費者を含めた、建物を購入する側に対して、安心できるルールを国土交通省には策定して頂きたいと思います。

以下、本日の日経記事を抜粋いたします。
杭(くい)打ち工事のデータ改ざん問題を受け、国土交通省は20日までに、杭打ちの施工に関する業者向けの指針を策定する方針を固めた。元請けによる立ち会いや施工データの定期報告などをルール化し、各社に徹底するよう促す。元請けと下請けの役割分担や責任を明確化し、改ざんなどの不正を防ぐのが狙いだ。

杭打ち工事をめぐっては元請けに対し、下請けの指導・監督を義務付けているが、具体的な方法などは決まっていない。指針では▽下請けは杭工事の進捗に応じて定期的に元請けに施工データなどを報告する▽杭を打ち込む固い地盤(支持層)の深さが特定しにくい場合などは元請けは現場に立ち会って施工状況を確認する――などのルールを示す。


一連の杭データ改ざんでは、現場でデータがうまくとれず、辻つまあわせのために他のデータを流用していた事例もあった。こうした不正を防ぐため、データが取得できない場合、元請けの「監理技術者」らが現場の担当者らとともに支持層に到達したかどうかを確認する方法も示す。
横浜市の傾いたマンションの杭打ちを担当した旭化成建材(東京・千代田)の現場担当者は、元請けの三井住友建設への施工報告書を杭工事の終盤にまとめて提出していた。支持層が平たんではなく工事の難易度は高かったが、元請けは工事の一部にしか立ち会っていなかった。


再発防止策を検討している国交省の有識者委は25日に中間報告を取りまとめる。この中で、下請けや孫請けの形で多くの業者が関わる「多重下請け」などの問題点も指摘する見通し。国交省は年明け以降も引き続き対策を検討する。