各社、欧州戦略の見直しを迫られているようです。

英国のEU離脱に伴い、欧州展開している国内上場企業の欧州戦略の見直しが本日の日経記事に掲載されておりましたが、リスクマネジメントとしては大きく分けて2つの方法があり、現状への調和策としては為替予約割合の増加であり、回避策として統括子会社の配置見直しということですね。

英国からの完全撤退や中国のような積極展開という戦略はおそらく無いかと思われますが、今回は英国がEU離脱をするまで2年間の時間がありますので、比較的戦略の見直し猶予がありますが、リスクは突発的に生じるものとして、想定し得る全てのリスクを考慮した上で、優先順位をつけた対策をするというリスクマネジメント経営は非常に重要であるものと考えます。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。

英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、企業の財務戦略にも影響が広がってきた。ニコンなどが急速な円高に対応して為替予約を増やしたほか、富士通は製品の値上げなどを視野に入れる。リコーなどは離脱交渉の行方次第で、金融統括子会社の配置見直しを検討する。

6月23日の英国民投票でEU離脱派が勝ち、円相場は一時1ドル=100円、1ユーロ=110円前後にまで上昇した。上場企業の想定為替レートはドルで110円、ユーロは123円前後が多い。足元の水準が続けば輸出企業の収益を圧迫する。

ニコンは国民投票前から対ユーロで円高が進んでいたことを受け、為替予約の方法を見直した。売上債権などに対し一定期間で決まった割合を為替予約していたが、この割合を引き上げた。NTNは国内に加えて海外子会社でも為替予約の量を増やし、予約通貨の種類も増やした。

一方、ユーロ建て売上債権の一定割合について為替予約をしてきたコニカミノルタは、為替相場が不安定なため10月以降の決済分については手控えている。2017年3月期の想定為替レートは1ユーロ=120円。直近はこれより円高だが、9月までは為替予約の効果もあり平均120円前後で決済できるという。

為替変動に対応し値上げなどを検討する動きもある。欧州売上高比率が約2割の富士通は「為替レートを見ながらサーバーなどハードウエアの価格を注意深く管理しマージンを確保する」(ダンカン・テイト取締役)。
英国で金融機関の拠点見直しが進めば、日本企業の金融統括会社の配置にも影響が出そうだ。欧州の金融統括会社を英国に置くリコーは「離脱交渉の行方次第では配置見直しの必要も出てくる」(山中行彦執行役員)。やはり英国に金融統括会社を構えるソニーも必要に応じて見直しを検討するもようだ。

欧州景気が減速すれば収益面でも逆風だ。シマノは欧州売上高は全体の38%だが、アジアで生産した自転車が欧州で売られる場合もあり、最終消費地での売上高の半分近くは欧州。為替などの動向を注視し「財務面でも適切に対処する」。欧州売上高比率が17%の京セラも状況を注視しながら対応を検討するという。