海外でブロックチェーン(分散型台帳)を貿易に活用しようとする動きがあるようです。

ブロックチェーンの活用により、統一の仕様で情報を共有できるようになれば、貿易取引に必要な船積書類の情報を、業者、銀行、税関等が安全かつ迅速確実に共有することが出来ると思いますので、早く実用化して欲しいものです。

以下、先日の日経記事を引用させて頂きます。

仮想通貨の中核技術であるブロックチェーン(分散型台帳)を貿易に活用しようとする動きが広がってきた。貿易の安全性を高め、迅速な手続きにつながるとの期待から、シンガポールなどで政府当局が参加した実証作業が進む。実用化の可否を見極めている段階だが貿易の仕組みを大きく変える可能性を秘めるが、日本政府は慎重姿勢だ。

 現在、貿易の過程では品名や貨物の責任者のデータなど数十種類の文書を各事業者がメールや郵便でばらばらの仕様でやりとりしている。ブロックチェーンの活用で統一の仕様で情報を共有できるようになれば手続きや手間を大幅に減らせる。

 空輸や近距離海運では、品物は目的地に届いているのに書類のやりとりが遅く、通関に品物が留め置かれることがある。ブロックチェーンを使えば取引を停滞させるこうしたリスクも軽減できる上、取引の安全性も高まる。相互監視によって誤発注などを減らせる可能性があるからだ。

 IBMは海運世界最大手のマースクと連携し、ブロックチェーンを使った貿易システムの年内の実用化を目指す。米税関国境警備局やオランダ関税庁が試験導入した。担当者は「手続きを簡素化すれば、世界の貿易量を約15%増やせるとの試算もある」と話す。

 アクセンチュアはシンガポールの海運企業や欧州の税関と組み、船名や貨物数量などが記載された船荷証券の発行を電子化する実験を実施。これにより、書類作成時の入力項目を最大で8割減らす効果を確認した。

 ブロックチェーン活用のシステムを既存のシステムと組み合わせる試みも進む。NTTデータは三菱UFJ銀行と連携し、金融機関が扱うインボイス(税額票)など4種類の書類のやりとりで、シンガポール政府の既存のシステムと連携できることを確認した。

 ただ普及のハードルは低くない。船荷証券などの書類は紙が原則となっている。電子化した情報を各国が有効なデータとして認めることが大きな課題だ。税関の国際ルール作りを担う世界税関機構(WCO)は世界共通のルール作りに向けて検討に入った。

 一方で、日本では税関など政府当局を巻き込んだ動きはまだない。政府関係者は「日本は閉じたネットワークで安全性を確保する考え方で運用している」と説明する。

 ブロックチェーンはネットワーク上の複数のコンピューターで蓄積するデータを管理するのが特徴だ。関係者は「貿易上のトラブルが起きた際の責任の所在が曖昧になるので抵抗があるのではないか」と指摘する。

 民間企業は「数年程度で世界に貿易のブロックチェーン活用が広がる」とみる。日本の出足が遅れれば貿易の円滑化で後れを取ることになりかねない。