10月から始まりましたキャッシュレス決済時のポイント還元制度について、利用急増により、19~20年度の予算総額は、当初見込みより約3000億円多い7000億円規模とする調整に入ったようです。

この制度は、消費税増税に伴う増税時の消費の下支えと併せて、キャッシュレス決済の普及が主目的でありますので、一定の成果は出ているかとは思いますが、一般消費者からしますと実態としては、コンビニや交通系ICカード等での決済によるポイント獲得が主目的となっているのではないでしょうか。

要は一種の税金ばら撒き制度で終わる可能性があるということです。


従いまして、今回の制度終了後に生じる消費への影響、また、今回の制度を契機にカード会社に加盟された中小の決済事業者については、制度終了後に決済手数料を引き上げられてしまうと、かなりの負担増が予想されますので、そこへの対策を早期に打つべきであると思います。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。

政府が10月に始めたキャッシュレス決済時のポイント還元制度について、終了する2020年6月末までに投じる国の予算額が数千億円規模で膨らむ見通しとなった。利用の急増で、19~20年度の予算総額は昨年末時点の見込みより約3000億円多い7000億円規模とする調整に入った。制度終了後もキャッシュレス決済が定着するかが焦点だ。

政府・与党内では実施期間を延長する案も取り沙汰されたが、制度は20年6月末に予定通り終了する計画だ。ポイント還元制度は、キャッシュレス決済した消費者にカード会社などを通じてポイントを還元する。

中小規模の店舗での支払いに5%分、コンビニエンスストアなどフランチャイズチェーン店で2%分が付与される。10月の消費税率引き上げをにらんだ個人消費の喚起と、大手より価格競争力に劣る中小企業を支えるためにつくった。

利用は予想を超えて増えている。経済産業省によると、制度が始まった10月1日~11月4日までの1日平均の還元額は12.1億円。対象となる登録加盟店は全国約50万店から12月1日には約86万店に増える見通しだ。さらに約130万店まで増えると試算する。

18年末の予算編成時では、19~20年度で計4200億円の関連費を見込んでいた。内訳は19年度に2800億円、20年度に1400億円を計上する予定だった。

しかし、利用の急増で財務省と経産省は予算を大きく上積みする必要があると判断した。19年度は当初予算の2800億円に加え、現在検討している補正予算案で約1500億円を計上する。この結果、19年度は4300億円となる。
さらに、検討中の20年度当初予算案にも2500億~3000億円程度を計上する。総額は7000億円規模となり、18年末の想定より3000億円程度増える。予算額の上限は設けていないため、利用が増えれば膨らむ可能性もある。
ポイント還元制度はキャッシュレス決済を定着する狙いもある。キャッシュレス推進協議会によると、日本のキャッシュレス比率は16年時点で19.9%。韓国(96.4%)や中国(65.8%)と比べて低い。政府は25年までに同比率を4割まで高める目標を掲げる。

政府内では消費下支えとキャッシュレス決済の普及に一定の成果が出ているとの声がある。ただ、利用は大手コンビニなどの店舗が多く、中小を支えるという目的とのズレも表面化している。

今回の制度は参加する決済事業者が加盟店から受け取る手数料を上限3.25%にするのが条件だ。制度終了で上限を撤廃するため、大手カード会社などは手数料を引き上げる公算が大きい。

カード各社は比較的信用力の低い零細店舗などに高い手数料を求める傾向にある。手数料が上がると、中小の間でキャッシュレス離れが起きる事態も否定できない。