薬が効けば代金を支払うが、効かなければ支払わなくても良い。
とてもわかり易く、かつ医療費抑制にも繋がるような成功報酬型の新薬を、ノバルティスは厚労省に申請するようです。

成功報酬型ということで、やはり通常の薬価設定よりも高めの値付けにはなるかとは思いますが、薬が効かなければ負担はノバルティスということになるので、これはこれで斬新なアイディアだと思います。なお、効いた効かなかったの問題もあるかと思いますが、この新薬については、1カ月後に腫瘍が検出されない場合に効果があったとみなして薬価の支払いを求めるようです。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。

 医薬品世界2位のノバルティス(スイス)は薬が効いた患者にのみ支払いを求める「成功報酬型」薬を日本で販売できるよう政府に働きかける。高額の新型がん免疫薬が対象で、医療保険の適用を受ける形で早ければ2018年中に発売を目指す。厚生労働省も導入可能かを検討する。医療の高度化が進む中、硬直化した日本の薬価制度のあり方が問われている。

 医薬品開発部門トップで、18年2月に同社の最高経営責任者(CEO)に昇格するバサント・ナラシンハン氏が日本経済新聞社のインタビューで表明した。「患者が欲しい薬を手に入れる方法として、成功報酬型が適切であればそれを使うのが良い」と述べた。実現すれば国内初となる。

 対象となる薬は8月に米国で承認された小児・若年者の急性リンパ性白血病の新薬「キムリア」。遺伝子を操作したヒト免疫細胞(CAR―T)を使う薬で、1回の治療ですみ、患者の8割で効果を示した。米国では47万5千ドル(約5300万円)で、一部患者向けに成功報酬制度を導入した。1カ月後に腫瘍が検出されない場合に効果があったとみなして薬価の支払いを求める。

 日本での効果判定や支払いの方法について「まだ具体的な議論は始まっていない」(ナラシンハン氏)としており、今後、厚生労働省などと議論を進める方針だ。

 バイオ医薬や遺伝子治療薬など高い技術を応用した医薬品が登場している。にもかかわらず、日本では政府が主導する形で既存の類似薬の薬価を基に新薬の値付けをするなど硬直化している。東京大学大学院の五十嵐中特任准教授は「日本の薬価制度は再考する時期にきている」と指摘する。

 ノバルティスは18年1~6月にキムリアを保険対象薬として厚生労働省に申請する方針。希少疾病の薬は、申請から7~9カ月で承認が下りることが多く、その2カ月後に薬価が決まり、発売できる。薬価は成功報酬型になるかどうかで、変わる可能性がある。

 厚労省は成功報酬型の薬価を「相談があれば門前払いはせず、まず省内で検討する」(幹部)としている。導入にあたり従来制度との整合性など議論すべき点は多く「国民的議論になる」(同)ことになりそうだ。

 15年度の国民医療費は過去最高の42兆4千億円に上る。うち薬剤費が2割強を占め、全体を上回るペースで増加を続ける。高額薬剤の相次ぐ登場が要因の一つ。成功報酬薬が導入されれば、薬価を巡る制度を問い直すきっかけになりそうだ。