4月に初めて明らかにされましたパナマ文書のリークですが、こちらは内部関係者だと思われる人物から南ドイツ新聞社、そして国際的な米非営利組織「国際調査報道ジャーナリスト連合」(The International Consortium of Investigative Journalists=ICIJ)によって、世に公にされることになりました。

告発者は、「犯罪者の利益のために働いている」が、「そうと知りながら世界中の法を犯している」とコメントしておりますので、思い悩んだ末での内部告発であったと思料します。

不正に携わっている関係者については首謀者以外は、ほとんどが自己を何とか正当化して不正に関与しているのですが、結局のところ、その人の真意というのは他人にはわからないと思います。
しかし、この告発者の勇気ある行動により、従来から危惧されていた租税回避地を利用した脱税やマネー・ロンダリング行為が明らかになったことも事実であります。

今回の流出以外にも当然様々な不正は存在していると思います。
国内についても、内部告発者が告発し易い環境の整備を望みます。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。
「巨大で広範な不正を明らかにする」「犯罪の責任を追及したい」。パナマ文書をドイツの南ドイツ新聞や、ICIJに提供した人物は6日、同新聞を通じて声明を発表した。名前は「ジョン・ドウ」。英語で「名無し」を意味する。
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この匿名の告発者がインターネットを通じて南ドイツ新聞の記者に接触したのは今から1年余り前だ。「政府機関などとの関わりはなく、政治的目的も一切ない」(声明)という正体不明の人物が持ち込んだ資料が世界を揺るがすことになる。

電子メールや銀行口座の詳細、個人の身分証明書……。計約1150万件、データ量にして2.6テラバイトに上る膨大な情報は、パナマの法律事務所、モサック・フォンセカから流出した約40年分の内部資料だった。
「過去最大の情報リーク」といわれるパナマ文書を単独で分析することは困難と判断した南ドイツ新聞は、世界60カ国以上の記者らでつくるICIJに共同での調査を持ちかけた。約400人の記者がおよそ1年かけて調べた内容を今年4月3日、一斉に報じた。

モサック・フォンセカは、1977年に設立され、パナマ人のラモン・フォンセカ氏とドイツ出身のユルゲン・モサック氏が共同で経営する。ICIJなどによると、パナマ国内では政府関係者とも近い有力者だという。英領バージン諸島やサモアなど、規制の緩い国に次々と進出し「世界的なペーパーカンパニーの卸売問屋」に成長した。

告発した人物は「犯罪者の利益のために働いている」「そうと知りながら世界中の法を犯している」と断じた。報道された記事では、違法なマネーロンダリング(資金洗浄)に関わった可能性も示唆している。

これに対し、モサック・フォンセカ側は脱税などの違法行為への関与を否定。パナマ文書についても「ハッキングされた」と、不正な行為によって流出したと主張する。

ICIJなどは提供された生のデータは公表せず、10日に公開したデータベースも企業名や役員の氏名など独自に整理した情報に限った。ICIJは「掲載した人物や企業すべてが法律違反や不正を働いたという意図はない」と説明している。
ICIJは市民などから幅広く情報を集めるために情報公開に踏み切ったが、「情報提供者の身を守るため」として、各国の捜査当局にも生データは提供しないという。