新年明けましておめでとうございます。

本年もM会計士のブログを宜しくお願い申し上げます。

今回は、
IFRSにおける決算早期化について、簡単にご説明をしておきたいと思います。IFRS10では、連結財務諸表の作成に用いる親会社と子会社の財務諸表は、同じ決算日で作成しなければならないが、親会社と子会社の決算日が異なる場合、子会社(若しくは親会社)は、実務上不可能な場合を除いて、連結財務諸表作成のために、親会社(若しくは子会社)と同じ決算日で追加的に財務諸表を作成することを要求しています。

もともと日本基準でも親会社と子会社の決算日は同じ日付で作成された財務諸表数値に基づき、連結財務諸表作成を作成することを原則とはしておりますが、子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月以内の場合、決算日のずれから生じる重要な内部取引の調整を行うことを条件に、報告日の異なる子会社の財務諸表にもとづき連結財務諸表を作成することが許容されています。

従いまして、IFRSを導入するに当たっての大きな課題としまして、子会社の決算を親会社の決算日に統一すべく、子会社の決算の早期化を実現する必要があります。

この点、決算期の統一方法には、子会社の決算期を変更する、若しくは仮決算を実施することで統一することに可能となりますが、それぞれの具体的な対応方法についても検討が必要となります。すなわち、決算期を変更させる場合、変更期は変則決算となりますので、財務数値の比較可能性や各国の法規制等を考慮して、グループ全体での一番最適な統一方法を決定する必要があります。さらに、実際の決算期変更については、
IFRS移行に伴う比較対象期間前に、完了をしておくことにも留意が必要になります。

決算早期化に当たっては、いくつか留意点があるのですが、主な留意点としまして、まず、決算早期化対象会社の可視化及び業務の標準化の検討を行う必要があります。具体的には、①対象会社の人員、スキル、業務内容、システム構成、決算プロセス等の洗い出し、サブ連結会社及び
M&Aで取得した新規会社等の可視化、②外注業務(税金や給与計算等)の一部内製化、③標準決算日程の策定と実績との差異の継続的モニタリング、④業務の平準化を達成する前倒処理の採用のための内部統制の整備・モニタリング等を実施する必要があります。

次に、経理部以外の多方面からも決算早期化への協力体制を強固にする必要があります。

すなわち、親会社の他の関連部署との協力は当然ですが、社外関係者(子会社も含む)との連携をどのように強固にするのかがポイントとなってきます。

例えば、取引先に対しては、販売・購買データ、請求書(データ)等の早期取得に関する協力が必要になる可能性があります。また、外部監査人に対しては、監査実施スケジュールや人員の調整を協議する可能性があります。さらに、外注業務先に対しては、特に海外子会社でよくみられる、税金や給与計算、記帳業務のアウトソースについて、外注先との連携(若しくは内製化)についても検討が必要かもしれません。さらに、IFRS特有の早期化の論点として、対象会社に給付型の従業員給付がある場合には、重要性があれば、年金数理人からIFRSに準拠した年金数理計算を依頼する必要があり、必要な情報を連結決算スケジュールに合わせてスムーズに入手する必要があります。また、対象会社の不動産に重要性がある場合には、IFRS13に基づき、外部専門家である不動産鑑定士による鑑定評価を依頼する局面が増えるかと思われますので、年金数理人と同様に、十分な連携が必要となります。

このように
IFRSの決算早期化は、非常に大きな課題となってきますので、親会社の強力なトップダウンのもと、グループ全体の大きなプロジェクトとして立ち上げることで、グループ一丸となることが、この課題を成功させる鍵となるでしょう。

当方では決算早期化をご検討しておられる企業様に対しまして、グループ全体での一番最適な統一方法(方法論)を決定するご支援をさせて頂きます。

どうぞ、本年も宜しくお願い申し上げます。

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