.税金費用又は収益の配分

当期税金及び繰延税金は以下のいずれかに該当する場合を除き、収益又は費用としてその期の純損益に含めて認識されます。

①その計上時期を問わず、税金が純損益以外で直接認識された項目に関して生じる場合

具体的には、a)IAS16に基づく有形固定資産の再評価、b)IAS8に基づく誤謬の訂正及び会計方針の変更に関する遡及的修正再表示又は遡及適用、c)IAS21に基づく在外営業活動体の財務諸表の換算から生ずる為替差額、d)IAS32に基づく複合金融商品の当初認識時に資本に計上される金額(区分処理)、となります。

これらの税金について、IAS12では、関連する項目の認識と同じ期又は異なる期かに関わらず、その他包括利益に計上される項目に関連する場合には、その他包括利益に、直接資本に計上される項目に関連する場合には、直接資本にそれぞれ計上することを求めています。


②企業結合

企業結合については、主に以下のような追加的な繰延税金が発生する可能性があります。

・連結財務諸表上、被取得企業の資産及び負債にIAS12を適用するものの、個別財務諸表上ではIAS12を適用しない場合

・被取得企業の資産及び負債について公正価値への評価替を行った結果、当該資産及び負債に係る一時差異に変動が生じる場合等

また、企業結合により、取得企業で繰越欠損金に係る繰延税金資産が認識可能となった場合には、繰延税金収益として利益に計上する必要があります。さらに、企業結合の結果、被取得企業で繰延税金資産に変動が生ずる場合には、企業結合時には資産の認識要件を満たさない場合でも事後的に当該認識要件を満たす可能性もありますので、企業結合の測定期間内に認識されたものであれば暫定的に算定されたのれんの帳簿価額を修正する必要があり、事後的に繰延税金資産が実現したものであれば純損益又はそれ以外の項目で認識をする必要があります。


③株式報酬取引

IAS12では、株式報酬取引に関連する費用累計額は税務上で損金算入される前にいったん資産として計上され、それと同時に財務諸表で全額費用化がなされたと考え、将来減算一時差異が生じます。この点、将来損金算入される金額が期末時点で判明していない場合(例えば、損金算入額が将来の一定の日における企業の株価に左右される場合等)には、期末時点で入手可能な情報を基に見積りを行うことになります。なお、税務上の損金算入額が累計された報酬費用額を超過するような場合には、当該超過額に関連する当期税金又は繰延税金は直接資本に計上するとされております。



この点、繰延税金資産又は負債が当初認識後に再測定された場合、それにより生じる繰延税金は純損益で認識されます。但し、当該繰延税金が当初、純損益以外で認識された項目に関連する場合は、当初認識時と同様に当該繰延税金の変動額は純損益以外で計上されることになります。なお、繰延税金資産又は繰延税金負債の再評価は、以下のいずれかによって生じる場合があります。

・税率の変更

・繰延税金資産の回収可能性の再評価

・予定されている資産の回収方法又は負債の決済方法の変更


以上、今回はIAS12のその他の論点について簡単に学習をしていきました。IAS12については、現在IASBUSGAAPとのコンバージェンスにより、改定作業中であります。特に、USGAAPでも実務上判断が難しい、不確実な税務ポジション(Uncertain tax position)における税務リスクに対する引当をどのように扱うのかという点について、今後の動向に注目をする必要があるといえます。次回は、IAS34号「期中財務報告」について、簡単に学習をしていきたいと思います。


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