ここで、②の一般目的の借入費用について、具体的な数値を用いて検討してみましょう。

 

【例題】

2行の銀行から一般目的で借り入れた残高が下記のようにあり、適格資産の建設資金30,000に当たって、どちらの銀行の資金を借り入れたかを明確に区別することができない場合の資産計上すべき借入費用を算定してみます。

 

借入先

借入金残高

(A)

当期発生した利息費用

(B)

実質利子率

(B)÷(A)

A銀行

10,000

100

1%

B銀行

40.000

800

2%

合計

50,000

900

 

 

資産化率は(100+800)÷(10,000+40,000=1.8%と計算され、これを建設資金30,000に乗じることで借入費用は30,000×1.8%=540と算定されます。ここで注意すべき点は、当期中に資産化された借入費用額は、当期中に発生した利息費用額を超えてしまうと、当期の利息費用額を越えた金額が資産計上されてしまうということになり、不合理が生じてしまいます。それゆえ、算定した借入費用額540が利息費用額900を超えていないかどうかを確認することを忘れないようにしておいて下さい。

 

3.資産化の開始・停止・終了

IAS23では、適格資産の取得原価の一部となる借入費用の資産化を開始する日において、初めて資産化を開始します。この開始日は、①適格資産に関わる支出が発生し、②借入費用が発生し、③適格資産を利用、又は販売できるために必要な活動が進行していることで初めて資産化が開始されることになります。

 

この点、適格資産の開発活動を中断している場合の借入費用は、部分的に完成した適格資産を保有するための費用と考えますので、資産化が停止されます。

そして、適格資産の建設が実質的に完了したことにより、意図した利用や販売が可能となった時点で、借入費用の資産化が終了することになります。

 

今回は、借入費用を簡単に学習してきました。IAS23では、借入費用に関して、その範囲、測定方法及び資産化時期を詳細に規定していますので、実務では規定に当てはめ適切に借入費用を計上する必要があるといえます。

 

次回は、IAS38号「無形資産」を簡単に学習していきたいと思います。


ランキング登録をしましたので、お手数ですがクリックのご協力を、宜しくお願いいたします。

人気ブログランキングへ