先日、電気事業法の改正案が閣議決定され、企業が特定の地域で工場や家庭までの電力供給に参入できる配電事業が免許制となり、分散した発電所をまとめて運用する仮想発電所(VPP)事業にも免許制が導入されることになりました。

 

当該改正を契機に、ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社で仮想発電所運営の欧州大手、独ゾネンが、家庭に置いた蓄電池をつないで電気を融通する次世代電力サービスを2021年にも日本市場に参入するようです。

 

すでにドイツでは利用者が蓄電池とパネルをゾネンから平均200万円前後で購入すれば、その後は月額料金ゼロで電気を使え、家庭の太陽光や蓄電池で足りない場合は、ゾネンが発電事業者から調達する電気で賄われ、需要家(利用者)はどの電気を使っているかを気にすることなく原則無料で使えるようです。

 

一方で、日本では需給調整の技術的な難しさや制度設計の遅れなどで、いずれも大規模な事業化には至っていない状況なので、実績ある外資系が国内で先行する形で再生可能エネルギーの普及促進に向けた基盤づくりが進みそうです。
現状日本で太陽光発電と蓄電池をセットで購入した場合のトータルコストは、メーカーや容量、性能などにもよりますが、安くても約200万円以上はするかと思いますので、ゾネン社の参入は脅威になるのではないでしょうか。

以下、日経記事を引用させて頂きます。

政府は25日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を見直すための法改正案を閣議決定した。つくった電気を全量買い取る今の仕組みは国民負担が重いため、採算重視の支援制度に修正する。新たな制度では入札制度で認定を受けた太陽光や風力の発電事業者が売り先を自ら探し、国が市場価格に上乗せして補助する仕組みになる。

改正案は今国会提出を目指す。政府は2012年に再生エネ事業者の電気すべてを電力大手が固定価格で買い取るFIT制度を導入した。太陽光を中心に再生エネの普及はある程度進んだものの、買い取り費用が電気料金に上乗せされるため国民負担が膨らみ、見直しの必要性が指摘されてきた。

新制度では普及によって発電コストが下がった大規模太陽光や風力を念頭に、FITから「FIP」と呼ばれる制度に切り替える。再生エネの発電事業者は自ら売電先を探し、国から市場価格に上乗せする形で補助を受ける。支援対象は入札によって決める。

エネルギー関連では電気事業法の改正案も閣議決定した。企業が特定の地域で工場や家庭までの電力供給に参入できる配電事業に新たな免許制を設けることも盛り込んだ。分散した発電所をまとめて運用する仮想発電所(VPP)事業にも免許制を導入し、各地域の再生エネだけで需給調整しやすい状況を作る。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がレアアースの精錬工場に出資できるようにするJOGMEC法の改正もめざす。電気自動車(EV)のモーターなどでレアアースの需要が高まっており、中国の一極集中を是正するのが狙い。同法では液化天然ガス(LNG)についても出資や債務保証による支援対象に第三国の受け入れ基地開発などを含めるよう見直す。