先日金曜日の日経記事で、仮想通貨の仕組みの一つでもありますブロックチェーン技術を利用して、ワイン産地を証明するという記事がありました。

ブロックチェーンは、取引履歴(トランザクション)を分散共有し監視しあうことで、取引の正当性を担保することができますので、今後ワイン以外にも食品全般の原産地証明や、紛争鉱物調査に必要な製錬所や精製所の特定等に利用されていくのではないでしょうか。

最近は特に品質偽装が多いですから、こうした技術が積極的に利用されることを望みます。

以下、当該記事を引用させて頂きます。

「このワインはブロックチェーンで本物と証明されます」。イタリアの高級メーカー、キャンティーナ・ボルポネ。ラベルに刷られたQRコードをスマートフォン(スマホ)で読むと、こんなメッセージが表れる。

流通過程透明に

 ブドウの栽培地や醸造履歴、温度管理……。製造から小売りまでの過程でボトル一本一本に関し真正品や品質の証しとなる情報を改ざんが困難な基盤の上でつなぎ合わせ、消費者に透明に示す。

 世界に流通するワインは高級品から廉価品まで2割が偽造品といわれる。本物なのか、味は良いのか悪いのか。目利きを担ってきたのは有名販売店やソムリエといった知識と経験で信用を得た一握りのプロだけだったが、信頼に足る情報の鎖が「お墨付き」を与える。

 海外にいる出稼ぎ労働者から年280億ドル(約3兆円)が流れ込むフィリピン。平均6%だった国際送金コストが1~2%になる新サービスが広がる。ブロックチェーンを基盤とする仮想通貨を活用し、世界中とお金を瞬時にやりとりして手数料を抑える。規制や銀行を経由するといった法定通貨の権威を守る仕組みに支配されない自由なマネーの流通が、巨大市場に効率をもたらす。

 ネットワーク参加者の間で、取引などの内容を暗号データで記録する「台帳」を分散して共有するブロックチェーン。活用対象を広げながら、価値に「太鼓判」を押すのは特定の誰かや権力者だけという20世紀までの当たり前を崩してゆく。

 21世紀に押し寄せるのは、値打ちを担保する力の源が無数の個に分散する非・中央集権の奔流だ。お金を保証する中央銀行の意義を仮想通貨が問うように、世界を行き交うヒト・モノ・カネを統治してきた国家の機能も揺さぶっている。

ネット上に戸籍

 アフリカ各地では昨年から、国連の後押しで身分証のない人に「電子ID」を発行するプロジェクトが始まった。指紋や虹彩の生体認証を用い、二重登録を防げるブロックチェーン上で一人ひとりの「戸籍」を作成。銀行口座開設や医療機関などで使えるようにする。

 世界では11億もの人が法的な身分証を持たない。国家に属さないと存在の裏付けさえなく、生活に必要なサービスを受けられないが、行き届かぬ行政を肩代わりする。

 欧州ではもっと先の動きがある。デジタル空間での仮想国家「ビットネーション」の樹立だ。ブロックチェーンをもとに同性愛者の婚姻届を認めたり、難民に身分証明書を発行したりする。実社会での法的効力はまだないが、既存国家が受け付けないアイデンティティーを持つ人々の受け皿を目指す。中央政府は置かず、統治に国民が自主参加する分権を提唱する。

 ビットネーションに共鳴し「市民権」を得た人は1万5000超。出生地や居住地といった制約に縛られず、自分の国は理想に合う国を自由に選ぶ。デジタル技術の進歩に伴い新たな価値観が広く浸透していくと、そんな時代が当たり前になっても不思議ではない。