バーバリーとのライセンス契約が終了して、株価も業績も落ち込んでいた三陽商会の業績が戻ってきているようですね。

16年12月期から2年間、販売不振で営業赤字が続いていたようですが、不採算ブランドの廃止や希望退職による従業員数の減少、自社ビルの売却、徹底した在庫管理、そして利益率の高いネット販売への展開等、何とか復活してやろうとする決意が伝わってきます。

もともとは「バーバリー」というブランド力があったからこそ、売上も利益も稼げていたとは思うのですが、ライセンス契約が終了するまでに新たなライセンス先や違った販路の活路等の発見、販管費の見直しや、在庫管理等やるべきことをやっておかなかったために、業績が悪くなってしまったのではないでしょうか。
まあ、自己分析が甘かったのが全てだとと思います。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。

 三陽商会の株価が戻り歩調だ。22日には2518円まで上昇し、2016年5月以来、約1年9カ月ぶりの高値を付けた。14日発表した2018年12月期の営業黒字見通しを評価した買いが入っている。主力ブランドを失った痛手からの立ち直りは鮮明だ。ただ、現在の株価は株式併合考慮後ベースで2006年1月に付けた1万3700円に対して2割程度の水準にとどまる。PBR(株価純資産倍率)も0.62倍と1倍を割り込んだままだ。株価の戻りを確かなものにするためには、新たな成長戦略を投資家に納得させる必要がある。


 「順調に業績は改善している」――14日の決算発表会見で岩田功社長は強調した。18年12月期の連結営業利益は3年ぶりに黒字に転換する計画だ。かつての主力ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了したのは15年6月。16年12月期から2年間は販売不振で営業赤字が続いた。15年8月に4570円を付けた株価は、16年8月には1470円まで一時下げていた(株式併合考慮後ベース)。業績と株価の回復に向け、歩みを進め始めた格好だ。

 17年12月期は、不採算ブランドの廃止や希望退職による従業員数の減少の効果が寄与し、連結営業損益は16年12月期の84億円の赤字から19億円の赤字に改善した。広告宣伝費の抑制も進め、販管費は56億円削減。在庫管理の徹底で粗利益率も4.8ポイント上昇するなど、リストラ効果が着実に効いてきた内容だった。

 ただ、バーバリーがけん引役だった頃と比べると、足元の売上高はその6割にも達しない。バーバリーが通年で業績に寄与する最後の決算期となった14年12月期の売上高は1109億円、営業利益は102億円だった。同ブランドはセールで値引き販売をしない方針だったこともあり、現在、残るブランドよりも利幅も取れたという。

 ライセンス契約が終了した後は、同じ売り場で「マッキントッシュ ロンドン」などのブランドに切り替えた。だが、顧客のニーズにあった商品を展開できなかったこともあり、採算は悪化した。通常、新規ブランドを投入する際は、数店舗から始めて売れ行きをみながら徐々に拡大していく。「マッキントッシュ ロンドン」は一気に約260店舗で展開したこともあり、生産量も多く、その後の販売が思うようにいかなかったことで過剰な在庫が発生した。

 その積み上がった在庫の処分や不採算ブランドの閉鎖など、負の遺産の整理を前期までに進めた。19年12月期を最終年度とする中計目標は、売上高が650億円、営業利益は20億円。今期はネット通販に注力するほか、契約社員を正社員化して優秀な人材の確保を進める方針で、まずは5000万円の営業黒字を目指す。

 ネット通販では3割の伸びを見込み、売上高に占める割合は10%程度となりそうだ。主力販路は百貨店だが、衣料品の販売は縮小傾向にある。好採算の自社サイト経由が、ネット通販での売上高の7割を占めるが、顧客との接点を増やすため、今後も外部ECサイトへの出店を強化する計画だ。アパレル大手のストライプインターナショナル(岡山市)とソフトバンクとの共同出資会社が15日から運営するECサイトにも参加し、積極的な姿勢が垣間見える。

 市場では「ネット通販の伸びや月次販売の好調が確認されれば、株高期待は高まる」(カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリスト)との声がある。百貨店向けで衣料品を販売するオンワードホールディングスは、ネット通販での販売好調が追い風となり、株価の上昇につながっているという。

 岩田社長は「業績は改善しているが、まだ病人の状態。来期以降、再投資を生むような事業への投資を始めていきたい」との意欲を見せる。5日には自社で保有する「青山ビル」の売却で、譲渡益33億円を今期計上すると発表した。「新規事業への投資のほか、M&A(合併・買収)や新しいライセンス取得などに使うことも考えている」(岩田社長)という。もっとも、まだ明確な成長戦略が投資家には見えづらいのも事実。復活劇はこれからが本番だ。