最近急激に増えている仮想通貨を利用した新たな資金調達手法であるICOについて、金融庁が10月から専門チームを設置し、監視を始めるようです。

ICO規制に係る主要国の対応としては、中国人民銀行(中央銀行)がICOの全面禁止を発表し、英国の金融行為監督機構(FCA)では、ICOは非常に高いリスクがある投機として警告を出しており、米国やシンガポールの金融当局は、有価証券との線引きを明確にするルールづくりを急いでいる状況です。

ICOに対する規制が急激に強化している中で、国税庁ではビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分するとする見解が出されましたね。
所得税の申告時には要注意です。

以下、本日の日経記事を引用させて頂きます。

 金融庁は10月から、仮想通貨取引所の監視に乗り出す。司令塔となる「仮想通貨モニタリング長」ポストを設け30人規模の専門チームを設置し、現在、登録業者の審査を進めている。仮想通貨の会計ルールをめぐる議論も並行して進む。仮想通貨の仕組みを使って資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)への対応なども含め、急速に広がる仮想通貨市場の監視と育成の両立をめざす。
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 今年4月に仮想通貨を、円やドルなどの通貨に準ずる支払い手段と定めた改正資金決済法が施行され、取引所には登録制が導入された。それ以前からビットコインなどの取引所を運営していた事業者は「みなし事業者」とし、9月末までの経過期間中に登録するよう求めている。

 1000万円の最低資本金や債務超過でないといった形式的な要件の確認だけでなく、「悪質な業者が入り込んで健全な市場の発展に水を差さないよう、リスクベースで慎重に審査している」(幹部)という。登録業務も本来は各地の財務局が担うが、金融庁本体に新設した横断的なチームで作業を進めている。日銀で初代フィンテックセンター長をつとめた岩下直行・京大院教授を参与に迎え、専門的な立場から助言してもらう。

 ただ仮想通貨を監視するのは簡単ではない。会計ルールを設ける議論が始まってはいるが、「ブロックチェーン」と呼ぶ技術を使った仮想通貨の取引所の会計内容をどう監査するかも定まっていない。複数の業界団体が存在しており、めまぐるしく進展する実態に自主規制などで迅速に対応するための仕組みもない。

 急速に普及するICOへの対応も課題だ。改正資金決済法は世界で初めて仮想通貨を法律で規定し、支払い手段として有効と定めたのが特徴だが、ICOは想定していなかった。当面、ICOが出るたびに改正資金決済法に設けた仮想通貨の定義に合っているかどうかをもとに是非を個別に判断していくことになる。

 これに対し、世界では中国人民銀行(中央銀行)がICOの全面禁止を発表した。英国の金融行為監督機構(FCA)も「非常に高いリスクがある」と警告を発した。米国やシンガポールの金融当局は仮想通貨の投機や資金調達の手段としての側面に目を向け、有価証券との線引きを明確にするルールづくりを急ぐ。

 民主導で想定外の事態が次々に起こる中、今回動き出す監督の枠組みで、仮想通貨の全体像をどうとらえフォローしていくのか。走りながら考えていくことになる。