今回は、2016年1月から本日までの記事やタグ毎のPVを集計いたしまして、1位から10位までのPVカウントダウン及び私見を述べたいと思います。結果としては、以下のようなランキングとなりました。

1位 社会福祉充実計画

216年度から3年間、中小の新規設備に係る固定資産税半減へ

3社会福祉法人夢工房の不正について思うところ

4旭化成建材による施工工事データ改ざんによる不正の影響について

5中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画について

6総務省・国税庁、18年にもマンション節税防止相続税、高層階の評価額上げへ

7特別目的の財務諸表監査について

8条件変更改善型借換保証の創設について

9三井住友建など行政処分も マンション傾斜、国交省検討

10内部通報制度指針、今夏にも改正へ


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位と3位については、社会福祉法人の内容になりますが、

本年3月末に「社会福祉法等の一部を改正する法律」(改正法)が成立、公布されたことに伴い、社会福祉法人のガバナンス強化の観点から、段階的に公認会計士による外部監査の義務化(平成2930年度は、収益30億円を超える法人又は負債60億円を超える法人)、そして、財務規律の強化として、内部留保の再投資を明確化するために社会福祉充実残額を定義し、当該社会福祉充実残額を有する法人に対しては、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画である、社会福祉充実計画の作成が義務付けられました。

 

12月中旬になり、ようやく厚生労働省から社会福祉充実残額の算式で未決定で部分であった指数や比率等の案が示され、大よその残額を算定することが出来るようになりましたので、急ピッチで社会福祉充実計画の作成に取り組まれている法人もいらっしゃることと思います。

 

一方で、社会福祉法人につきましては、設立時に理事者又はその関係者からの寄附が行われることも多く、特定の理事者に権限が集中するおそれがあります。従って、売買、賃貸借、請負その他の契約につき、理事者の独断による理事者の支配力の及ぶ業者の選定、価格の決定等により、利益相反して、法人に不利な条件で取引が行われる可能性があるので、頻繁又は多額な取引のある業者に関して、その取引や契約内容、業者の選定経緯、業者の役員等に理事者(及びその近親者)又はその関係者が含まれていないか等を検討する必要があるのですが、関係者からの寄附を契機として、理事長一族らによる架空勤務による職員給与の不正支出や様々な私的流用がなされていたのが、社会福祉法人夢工房の不正です。

 

当該不正については、結局のところ、寄附を簿外の借入金で賄っておりましたので、仮に公認会計士の外部監査が入っておれば、銀行への借入金の残高確認を実施すれば、即発覚されるような手口であると思っております。従いまして、真に社会福祉法人へのガバナンスを強化するのであれば、全ての社会福祉法人に対して、会計士の基本実証手続である、実査・立会・確認を義務化するような施策を打ち出さなければならないと思います。

 

2位、5位及び8位については、安倍政権が掲げる成長戦略の一環として、中小企業・小規模事業者等の「稼ぐ力」を強化するために、生産性の向上を目的として、71日から中小企業等経営強化法が施行されました。この法律により、中小企業・小規模事業者等は、事業分野別指針に沿って、経営力向上計画を作成し、国の認定を受けることで、認定事業者は、固定資産税の時限付での減税金融支援等の措置を受けることが出来ます。

その後、国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するための補助金である、いわゆるものづくり補助金につきましても、その目的に沿って中小企業・小規模事業者の生産性向上等をより強力に推進するため、本補助金の申請時において、経営力向上計画の認定を受けた事業者に加点がなされることになりました。その効果もあり、すでに1130日現在で5,644件の認定がなされております。

そして、平成29年度の税制改正より、中小企業投資促進税制の上乗せ措置として、中小企業者や特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除の優遇税制を利用する際には、経営力向上計画の認定がその適用要件の一つとされていますので、中小企業者の方々にとりましては、当該計画の認定は事業活動をする上での必須の要件になっていると思います。

4位と9位については、杭打ち工事を手掛けた旭化成建材の杭打ちデータ不正により、横浜市のマンションが傾いた問題ですが、結果的には全棟の建替えが決定され、住民の方々へは最低限度の保証がなされましたが、そもそもこのような建築に係る基礎データに不正はあってはなりませんので、性悪説を前提とした監督管理体制の強化をして頂きたいものですね。

ちなみに会計的には、今回の建替えに伴う見積総工費として、三井不動産は約390億円としており、そのうち今後発生する費用については、いったん三井不動産が負担、その後、施工者である三井住友建設や日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材に全額を請求することとされています。但し、4社の主張には隔たりがありますので、負担配分が決まった段階で、各社はそれぞれの負担額を特別損失に計上するようです。なお、ブランドイメージの毀損もありますので、実質的な影響額はこれ以上でしょう。

 

6位は、いわゆるタワマン節税に関する記事になりますが、

近年のタワーマンション人気により、タワーマンションの実勢価格は相当高騰しているのですが、現状の高層マンションにおける相続税の算定基準となる「評価額」は、マンション1棟の評価額を、各戸の所有者がそれぞれの床面積で「均等」に分割するので、階層や日当たりの条件によって差がつかずに全戸一律に算定されることから、当該マンションの相続人は、相続税を少なくしつつも、自己の所有財産を膨らますことが可能となっています。

しかし、12月の税制改正により、来年41日以降に契約する居住用の超高層建築物を対象に、固定資産税(都市計画税、不動産取得税も)が見直され、階層別専有床面積補正率として、1階上がるごとに約0.26%ずつ固定資産税評価額が高くなることになります。従いまして、高層階ほど評価額が高くなります。
なお本改正では、物件の相続税評価額の見直しについてまでは言及していませんが、実質的にはその評価額に加味をする必要があると思います。


10位には、内部通報制度指針の改正記事でありますが、

日本における内部通報制度は、2004年に公益通報者保護法が制定されたことで広まってきましたが、大企業の大半は制度としては導入しているのですが、形骸化しているのが事実であり、しかも中小企業については制度の導入自体も不十分であることから、消費者庁が今夏にも法改正をしようという内容でした。

当該法改正の背景には、もともと平成276月に「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」(以下、「検討会」といいます。)が設置され、取り纏められた第1次報告書を踏まえ、検討会の下に「ワーキング・グループ」が設置され、今年の4月から11月までで計11回に亘り、第1次報告書において示された法改正に係る各論点について審議が行われ、「ワーキング・グループ報告書」が取り纏められました。現状は、12月に最終報告書が取り纏められた状況です。今後、同報告書において示された方向性に沿って、法改正に向けた具体的な検討が進められることになっていますが、実際に改正まで至るかどうかは不透明な状況です。

 

7位にランクインした特別目的の財務諸表監査に関する記事については、これは20143月の記事であるにも関わらず、昨年に引き続きTOP10にランクインいたしました。特別目的監査については、公認会計士による準拠性監査として、従来の適正性監査とは異なり、監査対象を限定できること、監査対象となる書類の作成基準を設定した上で、公認会計士から監査意見を付すことが出来るというメリットがあります。従いまして、法人間の取引や書類に際して、第三者として公正な立場から、会計士が監査をすることも出来ますので、特別目的監査は今後より普及されるべき制度であると思っております。

 

最後になりましたが、本年もブログを閲覧して頂いている皆様方には、心より感謝を申し上げます。

来年もどうぞ、福武公認会計士事務所を宜しくお願い申し上げます。