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今回は、先日の日経電子版の記事を見ていて気になりました、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度案について、日本の退職給付会計基準を踏まえて思うところを書いていこうと思います。

この記事の概要については、厚生労働省が7日に、働く時間ではなく成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度案をまとめ、対象は年収1075万円以上の専門職に限り、週40時間を基本とする労働時間規制から外すが、過労を防ぐために年104日の休日なども導入の条件にするというものです。
しかし、当方が着目しているのは、この特定の管理職の方についての労働時間の撤廃案というところではなく、
新たに新設される長時間労働への対策としまして、社員(管理職含む)の有給休暇の消化義務案が提示されたという点です。

ご存じのとおり、日本での有給消化というものは管理職になればなるほど取得しづらく、それが慣行的な風習となっているかと思います(大企業と呼ばれる企業等ではそうではないかもしれませんが)。しかし、国外になると有給休暇というのは社員の権利でありますので、消化をして当たり前という考え方がありますので、IFRSやUSGAAPでは当然の如く、社員が有給休暇を取得する権利、すなわち、会社にとっては取得されることによる給料支払の義務(退職給付債務)を計上しなければなりません。

一方、日本の現状の退職給付会計基準では、当該有給休暇に係る債務は計上する必要がないのですが、これは従前からの日本の慣習がその一要因となっているからといえます。

ところが、上記の有給休暇の消化義務案が成立するのであれば、日本の退職給付会計基準もIFRSやUSGAAPと同様に有給休暇に係る債務を計上しなければならないというように改定されるのではないかと思います。なぜなら、消化義務があるのも関わらず、それが企業のBS上に債務計上されていないとなると、適切なBSとはいえないからです。

現在、労働基準法改正案を閣議決定し、1月26日召集の通常国会での成立と16年春めどの施行を目指すとのことですので、成立後の法案に留意する必要があると思います。

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