今回も引き続きIFRSにおける決算早期化を題材にして、今回は親会社が連結財務諸表監査目的で各子会社からの必要な情報を吸い上げる目的で策定しております連結レポーティング・パッケージに注目していきたいと思います。


なぜ、これが決算早期化に関係するのかと申し上げますと、前回の決算統一の投稿を思い出して頂きたいのですが、親会社と子会社の決算日がズレている場合、それを統一させる必要(仮決算を含めて)があったと思いますが、親会社の連結財務諸表目的監査のスケジュールが、当該統一作業により非常にタイトになるからです。

そこで既存の連結スケジュールを守りつつ、かつIFRSの開示要件に充足した情報を吸い上げるツールが今回の連結レポーティング・パッケージといえます。


このブログをご覧になられている企業様では、連結レポーティング・パッケージをどの程度カスタマイズされておりますでしょうか。よく聞かれる企業様のご意見を以下に2つほど記載しておきます。
【ご意見①】
いやいやうちはエクセル主義なので連結仕訳や必要な情報は全てエクセルで管理しているので、IFRSを導入したとしてもエクセルで何とか乗り切ってみせますよ。
→確かに、子会社に重要性がなかったり、子会社の数が非常に少ない場合はエクセルで対応することも可能かもしれません。しかし、すでに感じておられるかと思われますが、エクセル管理では人による作業が多くなってしまいますので、どうしても人為的なミスが増えてきてしまいます。従いまして、そのためのチェックを何度もする必要がありますが、如何せん、IFRSを導入する場合には決算統一が求められてくるため、そのような時間はほぼないといっても過言ではありません。

【ご意見②】

システムベンダーから販売されているIFRS対応の連結パッケージにそのままアップグレードすればいいんでしょ?

→確かにIFRS対応の連結パッケージにアップグレードすれば、デフォルトのレポーティング・パッケージはIFRSに必要な開示要件はある程度充足していると思いますが、そのパッケージは貴社グループの決算早期化を支援していますでしょうか。

IFRSでは開示の重要性を検討する必要がありますので、グループとして重要な開示を子会社から吸い上げるレポーティング・パッケージである必要があります。また、IFRSに準拠したレポーティング・パッケージを作成する際、その対応方法としては、親会社の連結決算プロセス(親会社で子会社のIFRS組替仕訳及び注記情報の収集)でレポーティング・パッケージを作成するのか、あるいは、子会社の単体決算プロセスでレポーティング・パッケージ(IFRS財務数値及び注記情報の作成)を報告させるかで、大きく分類することができます。



前者(親会社対応)の場合には、子会社からは現地のローカル基準に基づいた数値及び注記に必要な情報をレポーティング・パッケージで入手し、親会社では、想定される
IFRS組替仕訳の一覧や子会社からの関連データ等に基づき、必要な組替仕訳を作成し、注記情報の妥当性等を検証することで、IFRSに準拠した連結財務諸表を作成することになります。一方、後者(子会社対応)の場合には、子会社の単体決算プロセスの中で、レポーティング・パッケージ(IFRS若しくはIFRSに準拠したグループ会計方針マニュアルに準拠した財務数値及び注記情報の入力)を報告させることで、親会社はIFRSに準拠した連結財務諸表を作成することになります。当然、後者の対応の方が、親会社の連結作業の負担を軽減することになりますので、決算早期化を図ることが可能となります。


さらに、貴社のレポーティング・パッケージの勘定科目体系はグループの連結財務諸表作成に必要な情報を効率的に吸い上げる勘定科目体系になっておりますでしょうか、かつ、子会社の勘定科目体系と親会社の勘定科目体系はリンクしていますでしょうか。


このように、決算早期化を考える際には、まずグループ会社の単体決算を検討後、次のステップとして、当該単体決算情報の収集をいかに効率的かつ効果的に行うかが、非常に重要になって参ります。


決算早期化の方法は唯一ひとつではございません。しかし、決算早期化を達成している企業様の先行事例を参考にして、貴社にカスタマイズすることで、連結
決算のスピードは格段にアップします。
決算早期化で悩まれている企業様については、お気軽にご質問等を頂ければ幸いでございます。
 

詳しくは下記、福武公認会計士事務所まで問い合わせを宜しくお願いいたします。
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