.生物資産及び農作物の認識測定

IAS41では、生物資産や収穫された農作物を認識するための条件を以下のように規定しています。

(a)   the entity controls the asset as a result of past events

(b)   it is probable that future economic benefits associated with the asset will flow to the entity

(c)   the fair value or cost of the asset can be measured reliably


すなわち重要キーワードは、ボールドしましたように、その生物資産や収穫された農作物を企業が支配し、それに伴い、将来の経済的便益が流入する可能性が高く、かつ当該資産の公正価値又は原価が信頼性をもって測定できる場合には、生物資産や収穫された農作物を認識する必要があります。これらの要件はIFRSの概念フレームワークにおける資産の定義にその価額について信頼性要件を加えたものとなっております。


生物資産及び農作物の測定について、IAS41では、生物資産は、当初認識時及び各期末の報告日において、公正価値が信頼性をもって測定できない場合を除き、その売却費用控除後の公正価値で測定をし、公正価値が信頼性をもって測定できない場合には、取得原価で測定をします。また、収穫された農作物は、収穫時点におけるその売却費用控除後の公正価値により測定をします。売却費用とは、財務費用及び税期費用を除く、資産の処分に直接起因する増分費用であり、ブローカーやディーラーに対する支払手数料、規制当局や商品取引所による課金、その他関税等からなります。


この点、生物資産又は農作物の公正価値の決定は、重要な属性(例えば、年齢や品質)に従って、生物資産又は農作物を分類することで容易になることがあるので、企業は、価格決定の基礎として市場で用いられる属性を選択することになります。また、企業は生物資産の公正価値の決定にあたって、その現在の所在地及び状態を考慮することが求められます。


.公正価値の決定

現在の状況と条件において、生物資産及び農作物に関し、活発な市場(an active market)が存在する場合、当該市場における相場価格はこれらの資産の公正価値を決定する上で適切な基準となります。この点IAS41では、活発な市場を以下の全ての条件を具備した市場としております。

(a)   市場内で取引される物品は同質であること

(b)   自発的な買手と売手を通常いつでも見つけることができること

(c)   価格が公表されていること


一方で、活発な市場が存在しない場合、企業は以下の利用可能なものを一つ以上利用するものとされています。

①取引日と各期末の報告日の間の経済的状況に重要な変化がない場合の、直近の市場における取引価格

②類似資産の市場価格に、差異を反映するための必要な修正を加えたもの

③輸出用トレイ当たり、ブッシェル重量当たり、又はヘクタール当たりで表される果実の価値や、その肉がキログラム当たりで表される牛の価値等


この点、現実の状況によっては、市場で決定された価格及び価値が、生物資産について利用できない場合もあり、この場合、企業は公正価値の決定に際し、当該資産から得られると予想された正味キャッシュ・フローを現在の市場利子率によった割引現在価値を用いることになります。


なお、生物資産や農作物を将来の特定日に販売する先物契約を行うこともありますが、ここで契約した価格は公正価値を決定する際に、使用することは適切ではありません。なぜなら、公正価値は現在の市場における自発的な買手と売手による取引を反映するものであるからであります。それゆえ、生物資産や農作物の公正価値は契約の存在によって、修正はされないことに留意が必要です。


以上、今回IAS41の概要や認識測定を簡単に学習しました。この点、公正価値の決定においては、IFRS13号「公正価値」が昨年5月に公表されており、今後IFRSで使用される公正価値の測定については、当該基準書でのヒエラルキーに応じた測定方法に従う必要があるかと思いますが、IFRS13における公正価値の測定(一般的概念規定)とIAS41の公正価値の測定(独自指針)にそう大差はないといえます。IFRS13の詳細はいずれこのブログの中でご説明をしようと考えておりますので、その際にでもご確認をして頂ければと思います。次回も、引き続き同基準書の内容(特に開示)について、ご説明をしていきたいと思います。


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